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海の仙人/絲山秋子 [新潮社]


海の仙人 (新潮文庫)

海の仙人 (新潮文庫)

  • 作者: 絲山 秋子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫



いろいろなところでのおすすめを見て、絲山さんの作品をいくつか買ってみたものの、『イッツ・オンリー・トーク』が私に全然合わなかったので、今まで積んでいました。ただ、同時収録の「第七障害」は結構面白かったので、もう一作読んでみよう、と思い今回に至りました。

宝くじで3億円あたった主人公、河野勝男が、ファンタジーと名乗る不思議な人物(実は神様らしい)と出会うことから始まるこの物語。勝男の周りの人物との関係を描きながら、物語は進んでいきます。

まず、「イッツ・オンリー・トーク」が合わなかったからといって、今まで避けていてごめんなさい、と謝りたくなるくらい、面白かったです。これもまた、解説そのままになりますが、「よくぞこのページ数でこの内容を描いたな」と感心しました。ページ数は、手元の文庫本で約160ページ。短いために、もう少し描いて欲しい部分と思うところもあるのですが(最後の主人公のところなど)、無駄が全くない。普通の長編などを読んでいると、「ここは必要ないかな」と思い、だれてしまう部分があるのですが、この作品に関してはそれがなく、最後まで一気に読むことができました。

また、関西弁のテンポがいいのか、会話のやりとりが面白かったです。時に意味深な内容を含みながら、ぽんぽんと交わされる会話が、非常に小気味よかったです。

作品の内容として、近親相姦、恋人の病気(もちろん癌)と言った、字面にすると「何だかな」というのも含んでいますが、いいスパイスになっていたと思います。

終わり方に関しては、これもまた、例のパターンに近く、賛否両論ありそうです。最近読んだの、こんなのばかりな気がしますが。個人的には、あれから先を描くのは、森見登美彦さんのことばを借りれば「成就した恋ほど語るに値しないものはない」(『四畳半神話体系』より)というもので、それこそ無粋の極みだと思います。「成就したか(するか)」という問題はありますが。だから、あの余韻を残すような終わり方で大正解だと思います。

いろいろな人が、絲山秋子さんを押すのがよくわかる、すばらしい作品でした。まだ、積んでいる絲山さんの文庫があるので、順調に消化しよう、と思います。
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