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『死なない生徒殺人事件 識別組子とさまよえる不死』/野﨑まど [アスキー・メディアワークス]

タイトルからして意味深ですよね。死なない生徒。それだけで一つの物語ができそうなのに,それが死んだ,と言うのだから。興味深いタイトルです。


死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)

死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死 (メディアワークス文庫)

  • 作者: 野崎 まど
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2010/10/23
  • メディア: 文庫



幼稚園から高校までのエスカレーター式の女子校・私立藤凰学院。その高等部に着任した伊藤。その藤凰学院には一つの噂があった。それは「永遠の命を持った生徒がいるらしい」と言うもの。その時は,ただの噂だろうと信じていなかった伊藤。しかし,転入生の天名の相談に乗っているときに,「自分は死なない生徒だ」という生徒に話しかけられる。
その生徒・識別組子と接するうちに,だんだん不死について信じる方に傾いてきた伊藤。しかし,ある日彼女は殺されてしまう。しかし,また別の日伊藤と天名の前に現れたのは,識別組子を名乗る,別の生徒。
一体,彼女の言う「不死」とは何なのか?そして,識別組子を殺害したのは誰か。

評判がよかったようなので読みましたが,かなり面白かったです。

『[映]アムリタ』読んだときも感じましたが,この作者の持ち味はやはりラストだなぁ,と感じました。話はうまいですし,ちゃんと見せてくれます。そして,読み進めてきた読者を待つのは,衝撃的なラスト。この作品でもそれがしっかり感じられました。事前にそういう風になっている,と言う事は知っていたのですが,この作品でも意表を突かれて驚かされました。『[映]アムリタ』の時ほど,衝撃はありませんでしたが,その分あの後味の悪さもなかったので,そこはよかったです。残されたのは,謎と,少しの気持ち悪さ,という感じでしょうか。

「不死」というテーマ。そして,その「不死」である生徒が殺されるという事件。「自分は識別組子である」と名乗る少女の登場。それだけで,魅力的な題材。これをうまく取り扱って,非常に魅力的で引き込まれる物語が展開されていました。キャラの魅力ではなく,ストーリーで勝負している点が,電撃文庫ではなくメディアワークス文庫であるのだろうなぁ,と感じました。

「不死」に対する答えもちゃんと用意されていました。答えとしては,まぁ納得というかこういうものかな,という感じがしました。人間を,その人間のアイデンティティととらえた上で,「識別組子を不死たらしめる」という現実的なアプローチとしては納得できるものだったと思います。それでも,多少の疑問が残らないわけでもないですが。

やはりこの方の書く作品は面白いなぁ,と感じました。まだまだ波に乗れていない,という印象のメディアワークス文庫ですが,この作者が引っ張っていけば,面白くなってくるのではないか,と感じます。次の作品も楽しみです。
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