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『白蝶記—どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか—』/るーすぼーい [集英社]

〈作品紹介〉

ラスト10ページ、衝撃は最後にやってくる。

悪童たちの感動の”脱獄”復讐譚。

 雪深い山に囲まれた児童養護施設で育った旭と樹。ある教団が運営しているその異様な施設は彼らにとっては監獄と同じだったが、つらい生活を忘れさせてくれる親友・陽咲の明るさに救われ、三人は静かに日々を過ごしていた。
 しかしそんな彼らに悪意を向ける者がいた。旭や樹をいためつけようとする教師・小倉。彼は気に入らないことがあると旭たちに目をつけ暴力をふるうことを楽しみとしていた。ついに我慢の限界に達した旭は施設の園長にすべてを話すが、その密告を知った小倉の卑劣な手によって樹が処罰されてしまう……。

 耐え難い不条理を知った時、少年は悪童と化す――! 

文庫版


白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― (ダッシュエックス文庫)

白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― (ダッシュエックス文庫)

  • 作者: るーすぼーい
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/11/25
  • メディア: 文庫

 

感想は追記にて。

 はじめに  

昨今、名の知れたエロゲライターがライトノベルで作品を発表する、ということが多いような気がします。作品の宣伝文句に使うから目立っているだけかもしれませんが。そして、個人的には「遂に」という感じで、るーすぼーいさんが、ライトノベルデビューです。

感想を書く前にググって見たら『G線上の魔王』ももう七年前の作品になるんですね。『車輪の国、向日葵の少女』『G線上の魔王』と楽しませてもらった私としては、るーすぼーいさんのライトノベルデビュー作と聞くと、もう手に取らざるを得ないという感じです。

『僕の一人戦争』はまだ序盤の序盤までしかプレイしていないのですが(^^ゞ  

 期待しすぎに要注意  

帯のうたい文句が

「るーすぼーいライトノベルデビュー作 悪童たちの感動の“脱獄”復讐譚
ラスト10ページ、衝撃は最後にやってくる」

これをみて、『車輪の国、向日葵の少女』『G線上の魔王』をプレイしたことのある人だったら、あの後半で明かされる叙述トリックの見事さを思い出して、期待せざるを得ませんよね。もっとも、私としてはむしろ帯の煽り文句に「ハードル上げすぎじゃない」と不安になってしまったのですが。

あと、同じような煽り文句だった、米澤穂信さんの『儚い羊たちの祝宴』を思い出したのもあります。この作品の帯は

「あらゆる予想は、最後の最後で覆されるーー。ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。」

でした。これも、この帯でハードルが上がりすぎて、という感想が見られた記憶があります(個人的には「山荘秘聞」は文句なしでした)。

それ故に、私はむしろ「あまり期待しすぎないように読もう」として読み進めました。これくらいの方がこの作品を楽しむ上ではいいような気がします。

 

 内容について 

肝心の内容です。「復讐譚」だけに、作品自体が暗く、ライトノベルのもつ?明るい雰囲気はありません。まぁ、最近はガガガ文庫当たりを筆頭に、この作品のようなある程度の重さをもった作品が増えているようないんしょうではありますが。(といえるほど、最近ライトノベルは読んでいないのですが)

ただ、作者の作品をプレイしたことがある人間なら、文章から「いかにもるーすぼーい」という雰囲気を感じられると思います。とある新興宗教の村という世界に閉じ込められた少年少女。抑圧された主人公たち。ダークな雰囲気。主人公たちに立ちはだかる、悪意の塊。まさにそのものです。

叙述トリックで一世を風靡した作者らしく、内容もミステリっぽい感じです。ただ、犯人が主人公で、探偵役が教団の人間なので、ちょっと雰囲気が変わっていて面白いかもしれません。

 

 途中までは面白いんだけど……  

内容が、いかにもるーすぼーいな感じで、これまで彼の作品を楽しんだ人なら楽しめるないようではないかと思います。また、読んだことがない人も楽しめる力は感じられました。

ただ、問題が帯の「ラスト10ページ」なんですよね。尻切れトンボ感がかなり強いです。そのためか、読書メーターやAmazonの感想だと、続編前提で考えている人が多いようです。

かく言う私は、巻数表記がないことや作者の遅筆具合(『G線上の魔王』から『僕の一人戦争』まで7年経ってますし、『太陽の子』は発売日未定ですし)から、これは読み切りものだという意識で読んでいたのですが。なんと言うか、「え?」という感じで終わりでした。

とは言え、色々裏読みというか、妄想を膨らませたら、なかなか意味深長なラストではあるのですが。ただ、るーすぼーい作品の良さというのは、絶望からの逆転と、そこからラストで見られる希望の光だったと思っているので、このラストはどうなのか、と。ある意味、バッドエンドと取れないこともないわけですし。

ただ、そうと考えても衝撃からはほど遠かったのかな、と。個人的には、田中哲弥さんの『やみなべの陰謀』(1999)の「マイ・ブルー・ヘブン」のラストを思い出してしまったのが大きいかもしれません。

もっとも、それを読んでいたからこそ、変な想像をしてしまった面も大きいのですけども。

ただ、この終わり方が悪いか、といわれると、悪くない気もします。ハッピーエンドでは絶対ありませんが、妄想できるラストですし。

 

 続編があるなら期待したい  

個人的な期待値と帯の煽りのため、期待したほどの満足感は得られなかったのは残念ですが、それでも楽しく読むことができました。とは言え、やっぱり物足りなさが残るラストだけに、続きがあるなら期待したいところです。

なにより、「逆転」が起きるなら、ここからなので。 


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