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『砕け散るところを見せてあげる』/竹宮ゆゆこ [新潮社]

〈あらすじ〉

死んだのは、二人。その死は、何を残すのか。大学受験を間近に控えた濱田清澄は、ある日、全校集会で一年生の女子生徒がいじめに遭っているのを目撃する。割って入る清澄。だが、彼を待っていたのは、助けたはずの後輩、蔵本玻璃からの「あああああああ!」という絶叫だった。その拒絶の意味は何か。“死んだ二人”とは、誰か。やがて玻璃の素顔とともに、清澄は事件の本質を知る……。小説の新たな煌めきを示す、記念碑的傑作。

 


砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)

砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)


 

感想は追記にて 

〈感想〉

『知らない映画のサントラを聴く』から約2年。正確には1年9ヶ月。待ちに待った竹宮ゆゆこの新作の登場です。しかも、発売日はたまたま私の誕生日を一緒。これはもう竹宮ゆゆこさんからのプレゼントと考えざるをえませんwまぁ、九州なので発売日には買えなかったわけですが。

そんな本作は、竹宮ゆゆこらしさに溢れながら、作者の新しい一面を見せてくれた一作になりました。作品紹介には、「記念碑的作品」という文字。帯には市川沙耶さんと伊坂幸太郎さんのコメントが載り、ポップでは他の方々からのコメントが載っていて力の入りようがうかがえます。読み終えてみると、その力の入れようも納得の、素晴らしい作品でした。これは本屋大賞ノミネート不可避かもw

 

本作の魅力は、前述しましたが、「竹宮ゆゆこらしい展開+これまでの作者に見られなかったしかけ」ではないでしょうか。作品の基本的な部分は、ヒーローに憧れる主人公・濱田清澄と、UFOに攻撃を受けているヒロイン・蔵本玻璃のラブストーリー。二人の出会いや、ヒロインの置かれた部分では暗い部分を持っていますが、二人が出会ってから、二人が接近する過程はいつものゆゆこ節で、非常に楽しいです。伊坂幸太郎さんは苦手、と言っているように、苦手な方がいることも否めませんが。主人公がヒロインに出会ってしまって、ヒロインに惹かれていく過程の描写は、さすがというべきうまさでした。 

それ+しかけ。このしかけは、新潮文庫nexという、ライトノベルより少し高めの年齢層を対象にしたレーベルだからこそ仕掛けられたことなのかもしれません。伊坂幸太郎さんのことばを借りると「小説の持つ喜びの深いところ」ですが、まさに小説だからこそできる叙述トリックです。こういう作品を読むと、小説を読むことの楽しさを改めて感じます。このしかけに気づいて、久しぶりに本を読み返してしまいました。「最期のシーンを読むと、もう一度最初から読み返したくなる」みたいな宣伝文句を見かけることがありますが、私が実際に最初から読み返したのは、本作が初めてでした。

一回目の時点でも、ある程度気づくことはできたのですが、二回目を読むとしかけがうまく仕組まれていることに感心してしまいました。本当に一カ所。序盤の序盤に誤解を誘発する描写があるのですが、それ以降に関しては違和感を感じる程度に押さえられています。だからこそ、最後の展開をスッと納得することができるのではないでしょうか。最も、最初の誤解を誘発する描写をして「卑怯だ」「納得できない」という方がいても不思議ではないです。

また、個人的に作品自体の展開自体も、計算され尽くしたようなもので、作品のおもしろさに繋がっていると感じました。ちょうどいいところで、物語が展開されるんですよね。竹宮ゆゆこのテンポの良さと相まって、どんどん先を読みたくなってしまいます。

物語自体が面白いから一気に読んでいって、最後に待っているのは作者が仕掛けた叙述トリック。作者のにやりとした顔が(作者の顔を私は知らないのですが)見えるようです。「やられた」とはなりますが、心地よい読後感です。

 

本当に素晴らしい作品でした。これを機に、作者がまた一歩先の世界に進んでいくことを感じさせるような作品です。個人的には、竹宮ゆゆこのライトノベルを期待している部分もあるのですが、これから作者がどのような作品を見せてくれるか、楽しみになる作品でした。おすすめです。 


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