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『楽聖少女』/杉井光 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

杉井光×岸田メルのコンビが贈る絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

 高校二年の夏休み、僕は悪魔メフィストフェレスと名乗る奇妙な女によって、見知らぬ世界へ連れ去られてしまう。
 そこは二百年前の楽都ウィーン……のはずが、電話も戦車も飛行船も魔物も飛び交う異世界!?
「あなた様には、ゲーテ様の新しい身体になっていただきます」
 女悪魔の手によって、大作家ゲーテになりかわり、執筆をさせられることになってしまった僕は、現代日本に戻る方法を探しているうちに、一人の少女と出逢う。稀代の天才音楽家である彼女の驚くべき名は──
 魔術と音楽が入り乱れるめくるめく絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

 

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『メグとセロン Ⅶ婚約者は突然に』/時雨沢恵一 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

メグとセロンが「大変なこと」に──。
超注目の『メグセロ』シリーズ完結編!

 メグの元に、ラプトアからの短期留学生だった“新人君”の出した手紙が届く。手紙の内容について一人思い悩むメグ。思い切ってリリアに相談し てみることに──「むむ? メグ宛のラブレター?」「似てるけど……、ちょっと違う」「見ていいの?」「うん。でも、絶対誰にも言わないでね」──相談の 結果、手紙の内容について、セロンに確認してみることに決める。そして、例年にない大雪が降る中、新学期が始まり、部室へと集まる新聞部のいつものメン バー。手紙の内容を相談するメグ。しかしそれが、新聞部を巻き込んでの「大変なこと」に発展してしまい──! 『アリソン』『リリトレ』から続くシリーズ 『メグセロ』がついに完結。ラストを飾る黒星紅白書き下ろしのカラー&モノクロイラストもお見逃しなく!(電撃文庫ウェブページより)

 

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『俺の妹がこんなに可愛いわけがない 10』/伏見つかさ [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

 あのバカがしばらく一人暮らしをすることになった。受験勉強に集中するためってのと、あとひとつ、お母さんが最近あたしと京介の仲がよすぎることを変に疑ってるらしい……。あたしと京介がそんな関係に── なんて、あるわけないじゃん!
 で、まあ、責任の一端は、ちょっとだけあたしに……あるみたいだし、あいつもどうせコンビニのお弁当とかばっか食べそうだし、仕方ないから、あたしが面倒見てあげようかと思ったんだけど……。
  ちょっとあんたたち、なに勝手に京介の家で引越し祝いパーティ開こうとしてんの!? 発案者の地味子はいいとして、黒いのに沙織に、あやせに……加奈子ま で! ていうか、あんたたち知り合いだったの!? えっ? 地味子と仲直り? そんなのあとあと! あーもー、ひなちゃんは言うこと聞かないし! こんなんじゃ京介が勉強に集中できないじゃん!
(公式HPより)

(感想)

9巻が特別編(と言うかサイドストーリー)という感じだったので、本編が進むのは久しぶりな感じの『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』10巻です。発売時期にニュースになったり、アニメの2期が決まったりと、いい意味でも悪い意味でも話題という感じだなぁ、と感じる次第。

久しぶりに本編が進んだのですが、笑える展開が続き、ラストは良い感じで終わり。理想的な展開だったかなぁ、と感じました。京介の扱われ方は、若干可哀想な気もしますが、笑えました。まぁ、女性陣の内心を考えると、羨ましい気もしますけども。

10巻を一言で言うと、あやせファン大勝利の巻、でしょうか。

序盤は、京介が一人暮らしをすることになって、今まで京介にお節介を焼いて貰ってきた面々が、心に気持ちを秘めて恩返しに来る、と言う感じでしたが。桐乃の表の友だち(あやせ、加奈子、御鏡?)と裏の友だち(黒猫、沙織・バジーナ)、それと麻奈実が一同に返すと、こんなにハーレムだったかなぁ?と言う気がしてきました。何か、ラノベ的なハーレムってよりも、エロゲ的なにおいすら感じるようでした。全員が、気持ちを秘めているから京介に対する態度がちょっときつくて、京介は京介で鈍感だったからそれに気づかない、と言うのはお約束でしょうね。

そして、後半はあやせ。今まで黒猫と桐乃がメインだった分、陰が薄かった感じがしますが、それを吹き飛ばすかのような、活躍でした。あやせファンならきっと満足できるような展開。で、あやせが巻き込まれることに対してもお節介を焼いてしまう京介がいい奴でした。相変わらず、解決編は考えなしの勢い任せ、と言う気がしますが。でも、あれだけ他人に対して真剣になれる、ってのは気持ちがいいなぁ、と感じました。

そして、ラスト。物語の展開からしてやはりこう来たか、という展開でしたが、良いものでした。まぁ、何かデジャビュを感じないわけでもないですが。ただ、この展開がない以上物語が進まないのも確かなわけですし、この展開なしに物語が完結しても、不満が出そうなので、この展開は当然でしょう。ただ、この展開を迎えて、次にどう進むのかが全く分からないのも事実ですが。

中盤を読んだときは、そろそろ完結に向かいそうかなぁ、と感じましたが、まだまだ続くことを感じさせるラストでした。楽しみではあるのですが、これ以上の展開はぐだぐだしそうな気もするので、完結を見据えた方がいいんじゃないかなぁ、とも思いますが。作者の次の手を楽しみにしたいと思います。

最後に。最近かなりいやな思いをしたのですが、それに関連させる記述があったので、引用しておきます。

「でもな。キモかろうが、悪かろうが、バカにしていい趣味なんかない」(P.317)

そもそも自分の理解できないものを馬鹿にする、ってのは良くないよねぇ、と考えさせる内容でした。私自身、そんな事がないようにしていますが(興味ないことに対しては、興味ないと言うようにしています)、改めて肝に命じよう、と思いました。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)

  • 作者: 伏見 つかさ
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: 文庫

 


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『昨日は彼女も恋してた』&『明日も彼女は恋をする』/入間人間 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
はじめは二人はどこにいるかわからなかった。島の風景なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる『小さいマチ』を見たからだ。
僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。(『昨日は彼女も恋してた』裏表紙より)

『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識がわたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。(『明日は彼女も恋をする』裏表紙より)

(感想)

初、入間人間です。今回は上下巻構成、と言う事でまとめて感想を書きたいと思います。大いにネタバレが含まれていますことを、御了承下さい。

さて、まず入間人間という作家ですが、わたしはなかなか手を出さないでいた作家でした。『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』や『電波女と青春男』、それぞれ1巻は買っていたりしますけども。それは、ちまたの評判で「『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』1巻で切った」とか「文章が○○」とか「劣化○○○○」(一応、伏せ字にしておきます)というものを見ていたからです。しかし、あらすじ、タイトル共に惹かれるものを感じて、今回初めて作品に触れました。割とさらっと読める、と言うか、クセみたいなものはあんまり感じられないという印象。ただ、作品の展開は面白かったです。

この作品の最大の良さは、作品の展開ではないでしょうか。上下巻を一つの作品としてみたとき、序盤、中盤、後半で全く印象が違うように感じました。

まず序盤。かつてはお互いが好きでいたものの、些細な出来事から心を通わせることができなかった二人。そんな二人が、博士が作った片道切符のタイムマシンに乗って訪れたのは、九年前の島。そこには、元気に走り回る小学生の二人。このパートはひたすらのんびり、と言った感じ。人口500人前後の島。そこには緩やかに時間が流れています。そこで、二人は幼い自分たちと交流を持ちます。そこで向き合うのは、お互いの本心。かつては好きでいた。しかし、九年前の数日後に迫った自転車大会での出来事で、お互いの気持ちがずれてしまって元に戻すことができなくなって。

のんびりした雰囲気の中で、自分と向き合い。そして過去の改編を経てお互いの気持ちを、九年越しに確認しあうという展開は、心地よく、ハッピーになれる展開でした。この空気がいいなぁ、と。特に、上巻268ページのマチの台詞はかっこよく、かつ素敵すぎました。ここで、完全にハートを撃ち抜かれた感じです。

ここで終わったら素敵なのになぁ、と言うところで舞台は現代に帰ってきます。そして、帰ってきて待っていたのは、マチには受け入れがたい現実。過去の改変によって現れたその現実をさらに改変するために、二人がさらに動くのが中盤でした。一体、二人はどうなってしまうのか。読み手としては、二人の幸せな結末を祈りながら読み進めました。時間改変、と言うタイムスリップものの醍醐味が十分に感じられたのではないか、という気がします。

そして明かされる驚愕の真実。とはいえ、これについては、巧妙に仕組まれているなぁ、とは思いますが、ある程度展開を鑑みれば十分に予想できうることなので、衝撃の度合いは人によって変わってくるかも知れません。わたしは、ちょっと違っていたものの、おおむね予想どおりのことだったので、衝撃はあまりありませんでした。しかし、ここまでうまく話を持ってきたなぁ、と作者の力量に感心してしまう感じでした。

そこから描かれる結末。ある意味、相手を思う気持ちがあふれているエンディングではありましたが。そこで描かれていたのは、上巻で予想した幸せな結末ではなく。時間改変をしたことによって、時間の流れから外れてしまった者に対する、残酷な現実、というべきでしょうか。それが、たとえそのものが望んだことだとしても、胸が苦しくなってしまいました。

そして、ラスト。そこで描かれていたものは、恐怖でした。思わず背筋が凍ってしまいそうな恐怖が、作品のラストに待っていて。これが、時間を改変した者に与えられた罰だとしたら、残酷としか言いようがない。

この物語。途中まで「映画かアニメにしたら面白そう」だと思いましたが、読み終えると映像化は不可能な種類の作品だなぁ、と感じました。文学だから表現できる作品でした。そして、上巻で幸せな結末を予想させておきながら、ラストに待っているのは幸せではなく、過酷な運命。タイトルには偽りはないですが、読者の想像していた方向ではない、と感じました。なので、幸せな恋の物語を読みたい、と言う人にとっては不向きな作品だと思います。面白い作品ではありますが、読む際は心地よい読後感はない、と言う事を覚悟して読んで欲しい作品です。

 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)

  • 作者: 入間 人間
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: 文庫
明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)

  • 作者: 入間 人間
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2011/12/22
  • メディア: 文庫

 


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『6 ーゼクスー』/来楽零 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

 不思議な雰囲気を持つ少女・間宮有紗と待ちで出会ってから、人間が発火するという不可解な事件に巻き込まれてしまった心優しいセンシティブ少年・山本彦馬
 怪事件が周囲で起きることから警察に容疑者扱いされる彦馬だったが、そんな彼を救ったのは、特殊な事件を捜査する“特例か”所属の女刑事・北林花姫ーーシックスデイ事件の生き残りだった。
 過去、あるマッドサイエンティストが、新人類を作ろうと起こした誘拐事件により歪められてしまった6つの人生。そして、特殊能力を持った“始まりの六人(デイー・ゼクス)”。
 一人の少年を中心に、十年の時を経て動き出した「6(ゼクス)」に纏わる者たち。その目的は過去への復習か、それとも……。

 

(感想)

2月は電撃の新人賞の作品がリリースされるのですが、今年は特に過去の受賞者も一緒に取り上げられているようで、第12回金賞受賞の来楽さんも新作リリース。「第1回金賞受賞作家の新作も出してくれたらなぁ」と思うワケですが、来楽さんの新作が登場、というのは素直に嬉しい。調べてみたら、彼女の新作、『Xトーク』以来、約3年半ぶりの新作みたいです。

彼女の作品の良さは、派手さはないけれども淡々とした文章で紡がれる物語世界の面白さでしょうか。『ロミオの災難』『Xトーク』では、派手なアクションはなかったですが、キャラクターの内面を描く事で読ませる文章となっていました。さて、約3年半ぶりの彼女の新作は、と思ったのですが、相変わらずの彼女の作品世界の良さは健在。しっかりと楽しませてくれました。

ある日、「ゼクス」と呼ばれる特殊能力を持った人間と関わりを持つことになってしまった、普通の主人公。その主人公が事件に巻き込まれ、「ゼクス」と関わっていき、事件を解決するまでを描いた作品です。読み始めると、淡々とした描写から紡がれる作品から、どこかしら不思議な、超常的な世界を感じられました。「あぁ、変わっていないなぁ」と感じることができました。その後もライトノベルの異能ものにありがちな派手なアクションはありません。この辺は、主人公は特殊な力を持たない一般人。ヒロインも人間より少し5感の能力が優れているだけ。敵の能力はパイロキネシス、というところも関係あるでしょう。

この辺は、異能バトルものが好きな読者としては物足りなさを感じるかも知れません。しかし、この作品の良さはアクションにあらず。望まない形で異能を手に入れてしまったものが人間世界で生きる心情。そして、その異能の者と関わってしまった主人公が、自分に何ができるか、と言う心情。その心情の動きが、この作品の良さだと思います。そして、その心情の動き、陰で見え隠れする黒幕の存在。それぞれの持つ思いが作品を魅せてくれていました。

そして、作品を彩る挿絵がまた作品世界に非常にマッチしていて。ダークで、しっかりとした重さを持つ作品を見事に彩っていました。文章とイラストが相乗効果を発揮して、作品の魅力をより引き出している、と言ういい例だと思います。

ラストに関しては、突然終わった、と言う印象で、この辺は好みが分かれるかも知れません。私は、もう少し余韻を楽しみたかったかなぁ、と感じました。しかし、まだまだ物語はこれから、というイメージで終わっていますので、これからの物語なのかなぁ、と楽しみになる面もありました。

久しぶりの作者の作品でしたが、その魅力は健在、と言うところをしっかり魅せてくれた作品でした。しかも、あとがきからして、続きを出してくれそうで、この世界を暫く楽しめそうだ、と言う嬉しく感じました。派手さがないですし、作者の約3年半ぶりの作品、と言う事でどれだけの人が手に取ってくれるのだろうか、と感じます。ただ、読み応えのある、確かな世界が広がっていますので、できるだけ多くの方に読んでいただきたいなぁ、と感じます。『空ろの箱と零のマリア』や『テルミー』なんかの作品が好きな人だったら、楽しめるのではないかなぁ。異能ものでもこんな作品があるんだ、ということでもおススメです。

6―ゼクス (電撃文庫)

6―ゼクス (電撃文庫)

  • 作者: 来楽 零
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2012/02/10
  • メディア: 文庫

 


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『あなたが踏むまで泣くのをやめない!!』/御影瑛路 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)
ある日、クラスメイト(で可愛くて俺の女神でそして巨乳)のチョコちゃんに、一緒に部活動見学をして欲しいと誘われた。
なぜか我が家に居候し続けるドS幼女も連れて向かった先は『ポジティ部』。
ゴクリ……。
いやな予感しかしねぇ。
案の定、その部活はポジティブどころか、頭のネジが外れたネガティブなやつらの集まりで……。しかも『リア充耐性』をつける活動だとか言ってる。
残念系乙女名チョコちゃんのトラウマを克服するため、亭主関白系男子(パクメン)の俺が立ち上がる……!波瀾万丈の第2弾。(作品紹介より)

(感想)
御影瑛路さんの新作で、前作の『あなたが泣くまで踏むのをやめない!』の続編ですが、これまた凄いタイトルです。そして、このタイトルどおりの展開になるんだから、恐ろしいというかなんと言うか。

この作品の特徴ですが、「ハーレムもののように見えて、そこいらのハーレムものと一線を画す」ということにつきると思います。序盤はただただひたすらギャグ。作者の著作は『空ろの箱と零のマリア』しか読んでいませんが、こんなギャグも書けるんだなぁ、と驚くほど笑わせて貰いました。あまりに周りが残念だったり横暴だったりするので、主人公が一見まともに見える。そして、その主人公が目の前に突っ込む相手に対する突っ込みが的確でした。ただ、とうの主人公も一見まともに見えるだけで、その実はまともではないので、至る所で馬脚を現してしまう。この展開が非常にコミカルで楽しかったです。もう、わずかなシーンなのに圧倒的な印象を残すリョウあたりは、恐ろしいとしか言いようがありません。「ま、運がよければイラストが付くんじゃね?」(P.147)のある意味メタなネタも印象的でした。

でも、一番印象に残ったのは「青山サグ!」(P.364)です。もう、ロリコンの新しい呼び方、「青山サグ」でいいんじゃない?

ところが物語が後半に入ると、物語は一編。ひたすらシリアスな展開。ただただ正面から受け止めるにはあまりに大きすぎる展開が待ち受けているのが面白い、と感じました。そして、そのシリアスな部分に対する答えの出し方が、無茶苦茶でありながら、とにかく真摯であるかな、と私は感じました。まさか、「--それが、失敗だった」(P.287)というのが、その展開のことを指しているとは。完全に予想の上を行かれてしまったな、と驚くばかりでした。

ギャルゲーにせよハーレムものにせよ、誰かを選ぶと言うことは誰かを選ばないことであります。そして、相手との時間を重ねているからこそ、同じように大切に思っているからこそ、誰か一人を選ぶ、と言う事は心が引き裂かれるくらい大変なことではないか、と思います。相手が自分に対して、人並み以上の信頼を寄せている、と言う事が分かればなお。それを考えるにつけ、この巻の展開はある意味「正しい」と思うばかりでした。

第2章までの展開と第3章からの展開。これが全く別物のようであって、それが反発することなく一つの作品を形成している。1巻でも感じたことですが、このギャグとシリアスの融合と言うような展開が、この作品のすばらしさではないかと思います。私は、2章のラストからはもう目を離すことができませんでした。これは完全にやられた。面白かった。

そしてカオスな展開で終わりを迎えたこの巻。大切なキーワードになりそうな、会話の空白部分など気になるポイントがちりばめられていました。もう、続きが待ち遠しくて仕方がないです。あとがきの「まだ書きたい!だからみんな買ってね!」(P.369)という部分が気になります。きっと電撃なので3巻も出してくれると信じて、気長に待ちたいと思います。

去年の同時期は『レイヤード・サマー』がありましたが、今年も新年早々素晴らしい作品に巡り会えたなぁ。そんな感じです。


あなたが踏むまで泣くのをやめない!! (電撃文庫 み)

あなたが踏むまで泣くのをやめない!! (電撃文庫 み)

  • 作者: 御影 瑛路
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/01/07
  • メディア: 文庫



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『ハーレムはイヤッ!!2』/水鏡希人 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

 入学早々,図らずも学校中から「ハーレム王」と噂されることになった上月慧。その噂は,超可愛い幼馴染み・有坂美柚と,才色兼備な先輩・響徳寺綾乃と仲良くしている事が原因なのだか,その本当の理由は他人には言えない秘密で……。
 慧の意中の相手・初穂詩織にも理由は伝えられず,彼女との仲も進展しない毎日。そんな中,慧に文学部の詩織を手伝ってほしいという話が持ち上がるが,噂を信じる文芸部の先輩・梅原双葉には「女たらし」と毛嫌いされる始末。さらには美柚と綾乃の争いも激化して……。
 慧の恋と高校生活どうなっちゃうの!?
 第14回電撃小説大賞<金賞>受賞者・水鏡希人が贈る新シリーズ第2弾!(扉部分より)

(感想)

デビュー作『君のための物語』に魅せられて,以来氏の新作を心待ちにしています。そして,今回届けられたのは,初の続編。今まで読み切りで来ていただけに,どう来るのか非常に楽しみにしていました。そして本作ですが。なんと言っていいか分からない独特の作品に仕上がっているなぁ,と感じました。

前作で自分が思うこの作品の良かったところとして2つ挙げました。一つが,主人公が自分の気持ちに自覚的である事。もう一つが,掛け合いの楽しさ。この点は今回も健在でした。そして,その魅力がどこから生まれるのか,と考えたとき,この作者が「ライトノベルの定石」をことごとく外そうとしているところにあるのではないか,と感じました。それもこれも,作者が自分に課した制約ゆえのような気がしますけども。

そもそも,この作品,ハーレム作品,と言うジャンルに当てはまるか,と言われたら決してそうではないと思います。そもそも,美柚は異母兄妹で,綾乃は異父姉弟。そして,主人公の意中の相手は,接近してきているものの,まだまだ好意と呼ぶにはほど遠いような,そんな印象です。一人,ハーレム入りを目指そうとしている佳奈子は,いわゆるライトノベル的なキャラではありますが。立ち位置が微妙。ハーレムメンバーと言うより,どちらかというと,賑やかし要因,と言う印象。そして,今回の新キャラ・双葉も始めは慧に対して敵対心丸出し,と。

掛け合いに対しても,私は楽しいと思います。しかし,それはいわゆるライトノベル作品に見られる「軽快さ」というものではありません。この作品の掛け合いは,どこかしら知的レベルが高いような,そんな感じ。「普通の高校生は,こんな掛け合いしないよなぁ」と思うようなものです。『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズは,キョンの高校生と思えないようなボキャブラリーから繰り出される地の文が魅力だと思いますが,この感じがこの作品の掛け合いの魅力に近いような気がします。

「ライトノベル」として見たとき,本文中の言葉を借りると,「あざといほどの物語のわかりやすさ」,そして「ラブコメ特有の明解さ」は決定的に欠如しているように思います。ただ,それがマイナスかというと,私はむしろプラスかな?と好意的に判断しました。よくある「ライトノベル」という枠に本作を当てはめて書こうとしたとき,果たして平凡なライトノベル,と言う評価から脱しうるか。「ライトノベル」は似たり寄ったり,と言う事を言われる現在だからこそ,あえて「ライトノベルの定石」から外れようとする本作の価値があるのではないかと思います。

後は,ハーレムものに見せかけておきながら,主人公はヒロイン一筋。そのため,主人公とヒロインがだんだん近づいていく様を,安心して見ていられる,と言うのも本作の魅力ではないでしょうか。この巻でも,少し近づいてきていますし,どこまで近づいていくか,非常に楽しみです。

果たして,作者の試みをどうとらえるか。それによって評価が分かれそうな作品であると思います。ただ,普通のライトノベルではない,と言うものを読みたいという人におすすめしたい作品である,と思いました。


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『アイドライジング!3』/広沢サカキ  [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)
モモたちの通う鳴谷鶯高校の学園祭が始まった。張り切るモモだったが、先輩アイドルのタキ・ユウエンがやってきて、ウキウキは一点。前回の『貸し』を盾に迫る彼女に押し切られ、モモは学祭期間中ずっとタキとデートしなければならないことに。さらに学祭のイベントで発生したトラブルにより、モモはアイドルとしても大きな壁にぶつかり……!?
『皆さんお待ちかね!!鳴谷鶯の学園祭と全く同時期に行われるイベントと言えば!?そう、クイーンの称号目指してアイドルの最高峰・オペラ・オービットが戦うエリザベス予選!!本日の試合は--な、なんだあいつは!白銀のバトルドレスをまとう謎のアイドルが颯爽と登場っ!!果たしてその正体は!?』(紹介文より)

(感想)
今年の新人賞デビュー組で一番のお気に入り(というか、これしか読んでいない)の『アイドライジング!』の3巻がいよいよ登場。順調なペースで出ている印象で、ファンとしては嬉しい限りです。そして、本編はモモの、そしてタキ・ユウエンのターニングポイントとなりそうな内容でした

エリザベス予選は、オペラ・オービットの3人が、クイーンのマツリザキ・エリーに対する挑戦権をかけて戦うイベント。アイドル駆け出しの主人公・モモには直接的には関係ないイベントでありますが、そこをどう絡ませてくるのか、と思っていたら。割とストレートな展開で来たなぁ、という印象です。

意外だったのが、学園祭パートの分量の少なさ。2大イベントが同時期に開催される、という事もあったのですが、ちょっと吃驚です。この辺は、作品としてはあくまでも主題は「アイドライジング」の舞台における、少女たちの戦いと成長の物語なんだよ、という事を示しているのかな、と感じました。

この巻のテーマ、一言で表すと「成長」だと思います。元々、実家で買っている牛を自分で買い取るために始めたアイドライジングという戦い。その必要がなくなったのですが、それでもアイドルを続けることにしたモモ。しかし、それ故に彼女には、「自分が何のためにアイドルをしているのか」という芯がない。しかし、今後物語を紡ぐ上で、モモがそこに気づき、成長することが必要不可欠。そう、物語の進展のためにも必要な、モモの成長を描いたのがこの巻でした。

その答えも、自分が一人で見いだす、というのではなく、周りの人たちによって見つける、というのがいかにもモモらしい展開かなぁ、何て思いながら読みました。新人アイドルとして期待している人。ライバルとしてある人。クラスメイトとして応援するもの。たくさんの人に支えられて、確かなものを胸にアイドルとしての道にさらなる一歩を踏み出したモモは、まさにアイドルと呼ぶべき存在なんだろうなぁ、と思いました。

そして、この下りでのオリンがかっこよすぎて、惚れてしまいそうでした。あくまでもメインはモモとタキだったはずなのに、いいところはしっかり持って行くオリンさんが素敵です!

そして、タキ・ユウエン。自分がよかれと思って行った行為が、自分の思った以上の自体を引き起こしてしまったことから逃げ出しそうになりながら。しかし、相手の思いを真っ直ぐに受け止めることで、ここに来て彼女もまた一つ成長したように思います。エンターテイナータイプのアイドルである彼女の、あの発言がまさに彼女の成長の証ではないでしょうか。彼女の決意によって、物語に大きな波が起こりそうな予感がします。アイザワ・モモ、ハセガワ・オリンのメインの二人に、オペラ・オービットのムラサメ・キジョウ。もちろん、現クイーンのマツリザキ・エリーがそれをおめおめと許すとは思えません。さらには、今回名前と波があること自体は分かったものの、今だ謎のベールに包まれたオペラ・オービット最後の一人、ウルシダニ・ユカリの存在も気になるところです。さらに、オペラ・オービット常連であるというミハル、ツバキという存在も気になるところ。この辺が今後入り乱れて、激しいぶつかり合いを見せる展開になるのかなぁ?という事を予感させてくれました。何とも楽しみです。

また、なにげに新ドレスが出てきたのも気になるところ。そうか、ドレスの性能が分かっている上で、どう物語を見せるのだろう、というのが気になるところの一つだったのですが、「新しいドレスを出す」という方向性もあるのだなぁ、と思いました。オリンはないでしょうけども、モモに新しい性能のドレスが渡るのか。中盤でのパワーアップはお約束ですが、この作品では一体どうでしょうか。気になるところです。

作者あとがきを見ると、本作はスランプだった、ということですが。果たして、産みの苦しみを味わった分、素晴らしいできになっていたと思います。というのも、2巻までは多少なりとも流れとして気になるところがあったのですが、今回はそれが皆無。文章は読みやすく、内容は理解しやすく。それでいて、読者の心をばっちりつかめるような内容に仕上がっていたと思います。モモがこの巻で一皮むけたとすれば、作者もモモと一緒に一皮むけたのだな、と感じられました。

この巻をもって、いよいよ本編の、本当の幕が切って落とされた、という感じでした。作品としてもレベルが上昇していますし、これは今後がますます楽しみです。
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『灼眼のシャナⅩⅫ』/高橋弥七郎 [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

”徒(ともがら)”の理想郷『無何有鏡(ザナドゥ)』創造を巡り、”祭礼の蛇”の代行体・坂井悠二と、フレイムヘイズ『炎髪灼眼の討ち手』シャナが、刃を交えていた。
その渦中、琥珀色の風が吹いた。
吉田一美が、宝具『ヒラルダ』へ願った思いを受け、”彩飄”フィレスが戦場に現れる。
一大決戦の舞台となった御崎市は、この転機と共に、激動を経て終幕へと向かう。
フィレスを呼んだ吉田。
生け贄のヘカテー、ほくそ笑むベルペオル、『真宰社』を支えるシュドナイ。
襲来する”徒”を屠るカムシン、上空に舞うヴィルヘルミナ、そこへ向かうマージョリー。
そして、対峙するシャナと悠二。
人間、”徒”、フレイムヘイズ。彼らが向かう先が、今ここで決まる。全ては、悠二とシャナの決着の行方にゆだねられていたーー。
最終巻、遂に登場。

 

(感想)

9年にも及んだ『灼眼のシャナシリーズ』が遂に完結。私は、4年くらい前から読み始めたのですが、そのシリーズもいよいよ完結。終盤は刊行ペースもかなり落ちていたのですが、終わってみたらこのクオリティのために時間をかけたのかな?と感じました。非常に大満足。最後は涙涙でした。

さて、最終決戦の舞台となった御崎市で繰り広げられる、新世界を目指す紅世の徒と、その誕生を防ぐために抗うシャナたち。あまりに熾烈を極める戦いでしたが、本文自体は、割とゆったりしていたような気がします。というのも、激しい戦いを繰り広げていたのは、自分たちの使命を果たすためにシャナと手を組んだ「大地の三神」と、探耽求究・ダンタリオンのと梅津を目指すサーレとキアラ。そして、カムシンと言ったところからなのかなぁ、と。もちろん、悠二、シュドナイコンビと戦うシャナ、ヴィルヘルミナ、マージョリーも半端ではない戦いを繰り広げていたと思うのですが、割と会話も多かったからイマイチ緊張感がなかったような気もします。

とはいえ、シャナってバトルシーンを楽しむ作品ではないと思うので、そこはあまり問題では無いと思いました。元々、「バトルシーンが何をやっているか分からない」と言われることもある作品ですし。

では、何がこの作品の見所かというと、作者の明確なテーマの元に描かれる、登場人物たちの「思い」だと思います。そして、いよいよ最終巻となったこの巻では、それぞれのキャラの思いが溢れていて、力を持っていたように思います。

二人の戦いを止めるために、使えば死ぬ、と言われていた宝具「ヒラルダ」でフィレスを呼んだ吉田さん。

ヨーハンの思いを受け、作戦を実行するフィレス。

自らの消滅を悟りつつ、フィレスと「約束の二人(エンゲージ・リンク)」たろうとするヨーハン。

自らの使命を果たすために、自らが囮となり使命をシャナに託す「大地の三神」。

守るために自らの命を燃やすカムシン。

ダンタリオンを滅する最高のチャンスに戦うサーレとキアラ。

後悔を振り切り、遂に自分らしさを発見するヴィルヘルミナ。

大切な人の住む世界を守るために戦うマージョリー。

守るべきものを失い、それでも自分が好ましいと思ったものを守るために戦地に赴くシュドナイ。

シャナを思うが故に、シャナと道を違え、敵として向き合い、自らの思いを達成せんとする悠二。

そして、フレイムヘイズとしての使命を果たそうとしつつ、一途に悠二を思い続けるシャナ。

それぞれの思いに圧倒されるような、気圧されるような、そして心奮わされるようなそんな感じでした。ここまであったからこそ感じる部分もあって、感慨深かったです。特に、あくまでもヒールであったシュドナイが、ここに来て意外と人間らしいような、俗っぽい感情を見せたのには意外だったなぁ、と。その前から、自らの存在意義的な面もあるのか、彼女に対してそういうところはありましたが。サブラクの最後を思い出すにつけ、「紅世の徒」も意外と感傷的な面があるのでしょうね。

さらに内容も、ここまで22巻と積み上げてきた重みを感じさせるようでした。

とにかく、今まで積み上げてきたものを全て巻き込んでいくような展開。その様子がとにかく圧巻でした。遂に自分の願いを叶えるリャナンシーなんかは、見事としか言いようがなかったかな?「ザナドゥ」の世界の行く末を決めた最後の思いに、「革正団(レボルシオン)」が出てきたのには驚かされました。ここまで見据えてあの外伝を執筆していたんでしょうね。作者の明確なテーマにはいつも感心させられますが、ここに来て作者の緻密さに度肝を抜かれるようでした。

何よりよかったのは、シャナと悠二の、お互いの全ての感情を込めた最後のバトル。「世界を巻き込んだ痴話げんか」と言われたら、「そうだよね」としか言いようのないものだったんですが。しかし、シャナを愛するが故に、自分の行く末まで見据えて振る舞う悠二の愛。そして、そんな悠二すらも真っ直ぐに受け止めようとするシャナの愛。二人の愛の思いの強さに、ただただ涙があふれてしまいました。悠二のシャナを思うが故に頑なとなっていた心を開いた、たった一文。その一文に込められた思いの強さがこちらにも伝わってくるようで。ようやく訪れたこの結末が、最高の美しさで描かれて非常に満足でした。

エピローグについては、いかにも『灼眼のシャナ』という書き方で、もう少し、と思う人がいても仕方ないかな、という感じがしました。しかし、2ページのエピローグに、二人の今が、世界のこれからが端的に表現されていて、非常に「らしい」終わり方だなぁ、と感じました。これぞ、『灼眼のシャナ』とも言うべき。そして、本編がここで終わってしまったんだなぁ、と思うと切なくなりますが、辛くても険しくても、二人で道を切り開いていくことを感じさせて、最高の形だったと思います。

本編を彩る挿絵も、今回はかなり気合いが入っているように感じました。まず、表紙からして素晴らしい。満面の笑顔のシャナ。この前には悠二がきっといることを感じさせますが。二人の幸せな結末を予想させる素晴らしい表紙だと思います。中のクオリティも高く満足していたら。最後の最後。いとうのいぢさんのコメントと一緒に描かれたイラストが、なんと素晴らしいことか。なんで、これをカラーで、三つ折りで、巻頭に持ってこなかったのか!と言いたくなるほどの素晴らしいクオリティ。ここで、さらなる満足感が得られました。このイラスト、素晴らしいからポスターとかにしてくれないかなあ、と感じるほどでした。是非とも大きい絵で見たいです。

さて、本編はここで終了。この後、外伝3巻が刊行されてシリーズ完結となるようです。まだまだ1冊残されていますが、非常に美しいラストを見せてくれた本シリーズに大感謝です。作者独特の文体故の読みにくさの壁がありましたが、それを補ってあまりある大団円が見られたこと。これが何より嬉しいです。終わってしまうことは寂しいですが、この余韻に浸りながら、アニメのラストを見届けたいです。

灼眼のシャナ〈22〉 (電撃文庫)

灼眼のシャナ〈22〉 (電撃文庫)

  • 作者: 高橋 弥七郎
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2011/10/08
  • メディア: 文庫

 


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『回る回る運命の輪回る -僕と新米運命工作員-』/波乃歌 [アスキー・メディアワークス]

表紙とタイトルに釣られて購入しました。第17回電撃小説大賞第4次選考作らしいですが、なるほどいいところもありますが惜しいところもある作品だなぁ、と感じました。

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

回る回る運命の輪回る―僕と新米運命工作員 (電撃文庫 な 15-1)

  • 作者: 波乃 歌
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2011/07/08
  • メディア: 文庫

 

お菓子作りが得意なこと以外、大体平均ちょっと下。どこにでもいる高校生……だったはずの少年、野島浩平。

しかし彼の前に現れた美少女工作員ノアは、浩平こそが運命を狂わせる存在《イレギュラー》なのだと告げ、さらにはなぜか浩平の『弟子』になるといいだしてすっかり家に居ついてしまう。

浩平の常識とは全く違う感覚をもつノア。そんな彼女と過ごす日々の中で、浩平の運命は少しずつ動き出してーー。

第17回電撃小説大賞4次選考作。読むと少しだけ強くなれる。明日への小さな一歩を踏み出すための物語。(紹介文より)

 

まず文章ですが、なかなか読みやすいと感じました。凄く凄く丁寧に文章を綴って仕上げた、という印象。文章にクセもなく、引っかかることがなく読むことが出来ました。そこはよかったのですが、読みにくいところもありました。事件が起こって、そこで主人公が意識を失うなりしてその場面が終了。事件がどうやって解決したかが明かされるのが次の段落の始め、という書き方になっている部分がありました。もちろんそれ自体は小説の書き方として見られることであるのですが、この部分が読みにくい、という感じがしてしまいました。自分の読む能力の低下と言われたらそうなのかも知れませんが。この部分が少し引っかかってしまいました。

設定についても、うまく生かし切れていないなぁ、という印象。この世の運命を正しい方向に導くための組織。それがソサエティ。その新米工作員であるノア。このソサエティという組織。主人公が事故から一瞬先の未来をのぞき見ることが出来る力を得た、など設定としてはなかなか面白いと思いました。が、主人公のこの能力の発現条件が、自分が危機に陥った時という制約があるために、発現シーンが少なかったなぁ、と。ラストシーンではそれがうまく生かされていましたが、この能力を生かした場面が後何シーンかあるとよかったのではないかなぁ、と感じました。

それと、キャラクター。もちろん、そうでない作品も(少ないながら)ありますが、ライトノベルの最大の売りになるのは、登場人物のキャラクター性だと思います。そのキャラクターが如何に魅力的かが重要なのですが、この物語の登場人物のキャラクターが薄味に感じてしまったんですよね。特にヒロインのノア。印象としては、現れて、いつの間にか消えて、最後に気づいたら戻っていた、という感じでした。特にラストシーンについては「?」という感じでした。ノアもキャラクターとして、悪くないと思うのですが、この作品だけ読むと、物語の説明役、という印象がないわけでもありませんでした。ここを生かし切れなかったのが痛かったなぁ、と。

運命の解釈の仕方はなかなか興味深いモノがありました(特にイレギュラーの解釈の仕方)。物語も基本の部分をしっかりと押さえられており、クライマックス部分はなかなか読み応えがあり、面白く感じました。心がほんの少しだけ温かくなる物語、という感じでしょうか。それ故に、「あと少し」という部分が目立ってしまたのが残念に思います。なるほど、第4次選考作というのも分かるかなぁ。

この作品自体、完結していますが続けようと思えば続けられる形となっています。個人的には、今回気になった点が解消されることを期待して、続きも読んでみたいなぁ、と感じました。


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